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探求が終わる前に書かれた記事

ゴータマ・ブッダの遺言「自灯明、法灯明」とは?

ゴータマ・ブッダの最後の言葉に
「自灯明、法灯明(じとうみょう、ほうとうみょう)」というものがあります。

「自らを拠り所にして生きなさい、法を拠り所にして生きなさい」というような意味です。

一体どんな意図があるんでしょうか?
お話します。

ブッダを「体」として見ることを戒める言葉?

まずは、自灯明です。

「自らを拠り所にして生きなさい」ということなのですが、
こういう言葉が出てくる背景には、
弟子のアーナンダの存在があります。

ブッダが死の床につこうとしているときに、
弟子のアーナンダが

「あなた(ブッダ)が死んでしまったら、
その後、私(アーナンダ)はどうすればいいんでしょうか!?
何を拠り所にすればいいんでしょうか!?」

というような発言をしたんですね。

それに対する言葉が「自灯明」なんです。

アーナンダが、ブッダの本質を見抜けずに、
ブッダのことを体だと思い込んでいたことを戒める言葉だと思います。

私(体)は死ぬけれども、私(意識)は死なない。

ブッダは、自分のことを体だとは思っていなかったはずです。
それは確実だと思います。
自分自身の本質は、意識だということを明確に理解していたはずです。

僕たちの本質は意識だということは、
いろいろなところで言われているので、
知識としては知っているという人も多いと思います。

「すべてはひとつ」とか「すべては意識」とか。

でも、そのことを体験として、
感覚として、腑に落とせている人はどれくらいいるでしょうか?

なかなか稀かもしれません。

ブッダは、そのことを明確に、体験として、感覚として、
腑に落とすことができた最初のひとりかもしれません。

なので、ブッダの死を前に、
悲しみにくれているアーナンダをみて、

「わかっていないな〜、私(意識)は死なないよ」

って思ったかもしれません。

もっと言えば、死ぬような自分は、
存在していないよと思ったかもしれません。

そして、「自灯明」という言葉を残しました。

すべての人の中に意識(ブッダ)がある。

この世のすべての人は、
意識をもっています。

ブッダが意識という存在だとすれば、
この世のすべての人の中に、ブッダがいることになります。

そして、その意識が、
自分自身なんです。

つまりは、「ブッダ=自分=意識」ということですね。

それゆえの自灯明なんですね。

なかなかややこしいですけどね。
でも、ブッダのことを体だと思っている人にとっては、
ブッダは他人です。

だからこそ、他人を拠り所にしてはいけないということで、
自灯明という言葉を使ったのかもしれません。

人間が死んでいくのは自然の摂理。ブッダも例外ではない。

そして、法灯明です。

「法を拠り所にして行きていきなさい」ということです。

法というと、今の時代からいくと、
法律のように感じてしまいますが、
どうやら、ここでの法というのは、
自然の法則という意味だそうです。

自然の摂理ということでしょうか。

ブッダが死んでいくのは、自然の摂理です。
それは、ブッダであっても変えることができません。

そのことを、伝えたかったのだと思います。

「私(体)が死んでいくのは自然の摂理なんだよ。
それは受け入れないといけないよ。」

ってことなんだと思います。

この世は苦しみでできていることを知り、解脱すべく精進しなさい。

ブッダの死の原因は、
いってみれば、食中毒のようなもののようです。

キノコに当って、お腹が痛くなってしまったんですね。
それが、死因になってしまいました。

お腹が痛くなるのって苦しいですよね。

たしか、そのときブッダは80歳です。
老体にムチを打ってインドを旅していたようです。

体のあちこちに不具合も起きていたのではないかと思います。
痛みもあったかもしれません。

そして、ブッダはこういっています。
一切皆苦と。

法灯明というのは、
一切皆苦をも含む言葉だと思います。

自然の摂理の中には、
苦しみも含まれているということですね。

当然、その中には死も含まれます。

生きているかぎり、
その自然法則からは逃れられないということです。

だからこそ、もう生まれてこないように、
輪廻転生の輪から抜け出すべく、
解脱できるように精進しなさいと。

法灯明という言葉には、
そういう意味も含まれているような気がします。

まとめ

というわけで、
ブッダの「自灯明、法灯明」についてお話しました。

ちなみに、ここでお話したのはすべて、
僕はこう思うということです。

一般的にどう解釈されているかはあまり詳しくはないのでご了承ください。

ともあれ、自灯明と法灯明。

この2つの言葉には、
ブッダの教えが凝縮されているなと思います。

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